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こんばんは。
先日が土曜出勤だったので、今日は振替のお休みでした。天気悪かったけど・・・
そう言えば、異動になって職場ウサを家に引き取ったのですが(他に面倒見られる人がいないって言うし・・・)、今日初めて、我が家で寛いでいるところを目撃しました!
※寛ぐ=暑くないのに、体が伸びている状態。スフィンクスっぽい姿勢ww
毎週の職場←→我が家の移動が無くなって落ち着いたのか、それとも単に気候が良いのか(笑)食欲も非常に旺盛で元気なので、今のところ一安心です。写真撮りたかったけど、手にタンポポを持っているのに気付かれて『くれくれ!』とハッスルしてしまったのでダメでしたww
では、小説は続き~からどうぞ。
≪ボクらのトモダチ・3 ≫
「メモリ削除の件、やらない事になったから」
『は?』
あれから数日。
急に研究室へ呼び出されたボクとゼロは、揃って気の抜けた声を上げる。だってそうでしょ?二人であれだけ悲しい思いをして覚悟を決めたのに、それがたった一言で無しになるなんて。
「・・・どういう事でございますか?」
いつも通りの口調の中に、隠しきれない怒りを含んだ棘のある声でゼロが訊くと、何故かこっちも不機嫌そうな博士は一つ大きなため息を吐いて
「お前でやる必要が無くなったというか・・・」
ゼロ“で”やる必要が無くなった?
ボクとゼロは今まで色んなコトをされてきたけど、それはこの研究所が所有するプロトタイプ・・・研究用の実験機だから。実験機で実験しないで、でも今の博士の口ぶりだと実験そのものが無くなった訳でもなさそうだし。どういうコト?
「二人とも、来なさい」
そう言いながらも重い足取りの博士について向かった先は、メンテナンスセンターの修理室。ここは事故や経年でボディに損傷が出た機体を修理する場所で、ボクらも調整のためによく来るんだけど、そんな来慣れた部屋の奥にある調整台を見て、ボクは自分の目を疑った。
「っ!なに、この子・・・どうして?」
調整台に寝かされていたのは、デフォルトより10センチくらい背の低い〈カイト〉。その両目は真っ白い包帯で隠されていて、緑色の簡素な検査着から覗く木の枝みたいに細い手足には、大小のあざや切り傷、そして引き攣れた火傷の痕もたくさん残っている。
「虐待を、受けていたのですか?」
低いゼロの呟きに、博士が目を閉じて深く頷いた。
ロイドは体型が変わらないと思われているけど、ちょっと違う。取りすぎたエネルギーは放出されるから太るってコトは絶対ないけど、エネルギー補給なく稼働し続ければ、体の構成に使われているエネルギーまで使ってしまって痩せるコト、稀にあるんだ。ボクも実験の時に少し痩せたけど・・・食物からも電気でもエネルギー補給できるロイドが、自分の意思を持ちながらそれをせずにいるなんて、普通はあり得ない。
「この子は製造後キャンセルで、発注者ではない相手に購入されたんだが・・・一度も歌った形跡が無いから、最初から虐待目的だったんだろう。購入直後から暴言や殴る蹴る、その後は刃物や煙草、熱した金属などによる日常的な暴行。エネルギー補給は起動以降一度もされず、遂に今回両目を傷つけられた事で機体維持の危険水準に達して通報装置が作動し、購入者が逮捕された。一軒家に一人住まいで近所との交流も無く、虐待の発覚が遅れたんだ」
『くそったれが!』と、いつも優しい博士が吐く押し殺した罵りの言葉。今まで虐待でここに来た子たちだって通報装置が作動するほどひどい目には遭ってなかったのに・・・とうとう、出ちゃったんだ。
「この子、どうなるの?」
同じロイドであるボクがこんなコト言いたくないけど、この子はあんまり損傷がひどいから、直すにしたって新しい子を買うのと同じくらいのお金がかかると思う。でも、マスターであった人間が捕まってしまったんじゃ、いったい誰がそんな大金を用意するの?
この研究所がいくらロイドを大切にしてくれるとはいえ、容易く修理費用の免除できるような余裕はないもの。もしかして、このまま機能停止に・・・
「・・・この子はとても運が良い。保護されたところをたまたま見かけて、ぜひ引き取りたいから直してあげてほしいと言って下さった方がいてね。僕もその人の事は良く知っているけど、十分信用に足る人物だから、今度こそ幸せになれるよ」
「それで、どうして私たちをこちらへ?」
それは、ボクも不思議。
ボーカロイドはマスターを得るコトで精神的にとっても安定する。この子を幸せにしてくれるって分かってる人が待つなら、早く傷を直してその人に託した方が、この子にも良いに決まってるのに。
「引き取って下さる方は、この子が過去の記憶を持っていてもそれごと受け入れるくらい懐の広い人だ。けれど、この子自身はどうだろう?今まで味わった苦痛と恐怖は、いくら環境が変わってもそう容易く拭い去れるものじゃない。日常の些細な事にも一々怯えながら過ごすのは辛いと思わないか?・・・だから、この子は今までのメモリを削除して初期化しようと思う」
「っ!?・・・まさか・・・」
元々乏しい表情が全部抜け落ちたゼロの青い目が、博士の顔と調整台に横たわる〈カイト〉の間をフラフラ彷徨う。
「まだ〈カイト〉でメモリ削除の実験を行った事がないというのは、相手方に伝えてある。今この子は休眠状態で安定しているから、実験が済んで安全が確認されてからでも大丈夫だという話もした。だが、消したくない記憶を持つ者と消した方がいい記憶を持つ者がいるのなら、最初から消した方がいい者のメモリ削除を行うのが当然だろうって仰ってな。再起動後に不具合が発生する可能性についても承諾済みだ。・・・あの話がなくなった理由、これで解ったかい?」
・・・だってゼロは、この子みたいな子が出てしまった時のために、記憶を失くす筈だったのに・・・こんなに皮肉な形で救われるなんて。
まるでもう機能停止してるみたいに動かない小さな〈カイト〉を見つめていると、隣に立つゼロが弾かれたように部屋を飛び出す。いつも礼儀正しいゼロが、博士に何も言わずに出て行っちゃった!
「えっ!?あ、ちょっと待ってゼロ!博士、ボクゼロのとこ行く。・・・その子、カワイく直してあげてね」
「分かってる。こんな姿は夢だったんだって思うくらいにするよ!」
ボーカロイドを愛する博士なら、きっと言葉のとおりにしてくれる。分かってるからボクはそれだけ言うと、急いでゼロを追いかけた。
「ゼロ、速い!いつもボクが廊下走ると怒るクセに・・・」
白いコートの裾を翻す後ろ姿を追いかけて部屋に戻ると、それを待っていたみたいに体がドアに押しつけられる。
「私は・・・私の心は、何と醜いのでしょう!あの姿を痛ましいと、代わってあげたいとすら思った筈なのに。あの子が私の身代わりになるのだと聞いた瞬間、この感情回路は歓喜に満ちたのです!!」
自分の胸を書き毟りながら背中を丸めて寄りかかってきたゼロの声は、ひどく引き攣って、波のように揺れて・・・その顔が当たったボクの胸がじわじわ濡れていく感触に、泣いてるんだって分かった。
「“弟”が傷つけられ、あのような状態になって・・・それなのに、あの子がああなってくれて良かったとさえ、どこかで思ってしまった。これで私は貴方の事を忘れずに済むと、貴方と離れずに済むんだと・・・こんな自己中心的な、ひどい事を考えてしまう私は、プロトタイプとしてすらいられない!」
泣き叫ぶ顔を両手で包んで持ち上げると、抵抗無くゆっくりと視線が合う。
いつもの無表情を歪めてポロポロ涙を零すゼロは、ボクと同じに作られている筈なのにとってもキレイで・・・
「ボクも、あの子のメモリを初期化するって聞いて、これでゼロはボクのコト忘れないんだって思ったよ。あの子は起動してからずっと、痛くて怖くて辛い目に遭ってきたっていうのに。なのに、ボクのゼロはいなくならないんだって。嬉しい!って、そう思っちゃった。だからゼロだけじゃない、ボクもひどい。プロトタイプ失格」
「イチ・・・」
零れ続ける雫を唇で掬いながらそう言えば、目の前で濡れる顔が困ったような、悲しそうな瞳で見上げてくるから、ボクはその青を閉ざすように舌を這わせた。
ねぇゼロ。本当にひどいプロトタイプは・・・涙を流して悔いる“番号無し”と、悔いる気さえ無い“番号持ち”の、いったいどっちだろうね?
*************
ボカロ虐待の件は、突き詰めて書くと重い上に別の方向に進みそうなので、敢えて大雑把にしておきました。あの子が今どうしているかは、次回の話でわかる・・・かな?
そして、ここにきて色々と謎を増やしてしまってすみませんww その内どういう意味か分かるように話を書きますので!
続き
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かなり根深い腐女子(貴腐人?)なので、色々すみません・・・
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