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「アイス大好きな歌う青い兄さん」にやられた可哀想な人のブログです。
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こんばんは。

年度末も迫り、色々と仕事が差し迫ってくると共に、orzな出来事が表面化して参りました。・・・取り敢えず、碌でもない人事だぜ(泣)

さて、今日も北上カイトと01二人の話です。小話ですので、お暇な時にどうぞ。

**********

〈いっぱい食べるキミが好き〉


「カイトは本当に、美味しそうに召し上がりますねぇ」

 目の前でみるみる減っていくオムライスに感心して、つい呟いてしまう。

 ボーカロイド研究所の食堂で、向いに座って黄色い山を面白いように削っているのは、つい数日前に起動したばかりのボーカロイド〈カイト〉。まだ起動したてですが表情変化を含む動作の作動経過は順調で、特に食事の時は本当に幸せそうに頬を緩めるのです。

「え、あ、えと・・・僕やっぱり、食べ過ぎだよね?」

 〈カイト〉のプロトタイプであるイチと私にとっては沢山の“弟”の一人であり、けれどとても大切な“友人”でもある彼は、私の言葉にピタリとスプーンを止め、それから恥ずかしそうに上目遣いに訊いてきました。標準より小柄な彼のその顔は非常に困ったような、今にも泣きそうなもので、私と並んでそれを見ていたイチが慌てて声を上げます。

「おかしくなんかない!カイト、もっといっぱい食べていいんだよ?それにカイト、ご飯食べる時とっても幸せそう」

 実を申しますと、ボーカロイドというのは非常にエネルギー効率が良く出来ており、人間の一日の食事の3分の1も摂取していれば十分過ぎるほどに稼働できます。
 つい先ほどスパゲティを召し上がり、更に今、イチと同じオムライスを美味しそうに頬張るカイトは、我々の視点から見れば明らかに過剰摂取・・・いえ、そもそも満腹で食事の継続は無理な筈なのですが。

「でも、おかしいよ。エネルギーだって十分足りてるのに、まだ何かが足りない気がして・・・もっと食べたいって、思うなんて」

 知らぬは本人ばかりなり、というのは、このような状況の時に使う言葉なのでしょうか?
 私もイチも、それにこの施設に勤務する職員の殆ども、カイトが何故これほど食に固執するのか、概ねの検討はついておりました。

 カイトは・・・本人は知らず、また知られてはならない事ですが、実は二度目の起動となります。
 ロイド保護法で逮捕された以前のマスターから、大規模な修理とそれまでのメモリを全て削除しなければならない程の酷い扱いを受けていたのです。

 その虐待の一つとして彼は起動してから一度も食事を、いえ、電気によるエネルギー補給さえ許されておりませんでした。

「博士もおっしゃっていたでしょう?きっと一時的なものです。それに、人間と違って食べ過ぎても身体を悪くする事はございません。お好きなだけ、召し上がって下さい」

 ロイドはメモリを削除してしまえばそれまでの出来事を全て忘れますが、それでも一度稼働した機体にはそれまでの“残り香”のように、思考回路や感情回路に残るものがあるようです。
 再起動されたカイトが食べ物を求めるのは、得られなかったものを無意識に身体が求めているからでは、と博士はおっしゃっていました。満たされるという事を知れば、そう遠くない内にこの異常ともいえる食欲も落ち着くだろう、と。

 それを聞いておりましたので、私もイチもカイトの食事については一切止める事をいたしません。

「マスター、こんなに食べてる僕の事、呆れたりしないかな?」

 カイトの新しいマスター様は、友人であるカイトと同じくらい、私共にとって大切な恩人です。
 とても快活で心優しいご老人で、前のマスターから回収されて機能停止になる予定だったカイトを引き取って下さり、再起動した今も2日に1度はカイトに会いにいらしています。

「おじいちゃん、ご飯美味しそうに食べる子がいると嬉しいって言ってたよ」
「・・お料理、好きなんだって。僕を迎えたら、美味しいご飯作ってくれるって」

 カイトはこの先しばらく、再起動による致命的な欠陥や不具合の有無を調べ、問題無しと認定されてようやく新しいマスター様の元へ行く事が許されます。それはカイトにとっても、マスター様にとっても待ち遠しい事でございましょうが・・・

「鷹ノ原様は、貴方が来るのをとても楽しみにしていらっしゃいますからね。・・・けれどそれまでは私共とここでこうして、食事をして頂けますか?私も、貴方が食べている姿を見るのが好きなのですよ」
「ボクもカイトがご飯食べてるトコ見るの、大好き!なんかね、すっごく嬉しくなる」

 そう申しますと、カイトは手の止まっていたスプーンと私共の顔を何度か交互に見て

「・・・ありがとう」

 控えめな、しかし花の綻ぶような笑顔でそうおっしゃってから、またオムライスをすくい上げて美味しそうに口に運ばれました。

**********


今回もゼロ視点の話です。北上カイトの秘密がジワリと出て参りましたが・・・詳しくは今後また。
取り敢えず、飯食べるなら美味しそうに食べる人と一緒の方が良いですよね?

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