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《マスターと炬燵》
「こんなところで寝てると、風邪ひいちゃいますよ?」
どこか控え目な声と、そっと頭に触れる手に目を覚ました。ぼんやりと瞼を開けば、青い色が視界一面に広がる。
「かいと?あー・・・寝てたか、俺」
「起こしちゃってごめんなさい。でもマスター、前にコタツで寝てて風邪ひいたことがあるって言ってたから・・・」
風呂から上がったカイトは俺の頭の横に正座して、申し訳なさそうに顔を覗き込んできた。ああ、それで妙に遠慮がちに起こしたんだな。
丁度良い場所にある脚に頭を乗せれば、湯と石鹸の良い匂いがする。それを楽しむように頭の位置をずらしていると、いつもより温かい手が俺の髪を弄りながら
「マスター?」
「悪ぃ、ちょっとだけこのまま。・・・あー、何かいいなぁ、こういうの」
「こういうの?膝枕ですか?」
「それも良いけど、そうじゃなくて・・・」
この冬までの2年間炬燵を使わなかったのは、両親がいなくなった最初の年、いつものように出した炬燵で何度も一晩寝てしまい、体調を崩したせいだ。
勿論、具合が悪くなっても看病してくれる相手がいよう筈もなく、散々苦しんでから、二度と炬燵は出さなくなった。出せば二の舞になるのは、目に見えてたし。
「俺が寝ちまっても、こうやってカイトが起こしてくれるだろ?」
「はいっ。だってマスターが風邪ひいて苦しいの、嫌です」
今回、一度は経験させてやりたいと久し振りに炬燵を出した原因であるカイトは、前に俺の看病させた事があるせいか、自分の方が苦しそうな顔をして覆い被さるように俺の頭を抱える。
その腹に向けるように笑いながら、手を伸ばして軽く背中を叩くと
「お前がそうやって思ってくれてる内は、大丈夫だよ。さて、じゃあ寝るとするか」
「はい」
ぬくぬくと温かい炬燵も捨てがたいが、やっぱり恋人を抱き込んで眠るのが、冬の一番の幸せだ。
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《カイトが耳かき》
「マスター、“耳かき”させてください!」
晩ご飯の後、ぼうっとテレビを見ていたマスターにそう言うとちょっと嫌そうな、困ったような、すごい微妙な顔をされた。
「耳掻き・・・どうしても、したいのか?」
「ミクが、タヌキさんにしてあげるととっても喜ぶし、気持ち良いみたいだって。マスターは、オレに耳かきされるの嫌ですか?」
人間は耳かきが好きみたいで耳かき専門店もあるって聞いたし、マスターも時々自分で耳かきをしてる。オレもミクみたいに、してあげたかったんだけど・・・
「そういう訳じゃないんだが・・・じゃあ、頼む」
「はいっ」
そう言ってくれたから、いつもマスターが使ってる、先っぽに白いポワポワが付いた細い棒を手に和室へ向かう。耳かきの仕方を調べたらされる方は膝枕で横になるって出てたから、畳の方がいいよね?
「あんまり、汚れてませんね」
「いつもは自分でやるからな」
正座したオレの脚に頭を乗せたマスターは、前に膝枕をした時と違って妙に緊張してるっていうか、身体に力が入ってるって言うか・・・キレイだから、耳かきしてもあんまり気持ち良くないのかな?
ちょっとガッカリしながら、今度はオレのお腹の方に顔を向けてもらって細い竹の棒を差し入れる。
「っぁ!」
さっきと同じように、スプーンみたいになった棒の先を耳の穴に当てて引き上げたら、小さな声と一緒に膝の上の身体が身じろいだ。
「ふぇっ!?」
「な、何でもない!」
そうは言うけどちょっと強過ぎたのかなと思って、今度はさっきよりそっと棒を動かしていると、マスターがぎゅうっとオレのお腹に顔を押しつけてくる。
「ちょ・・・もう、無理・・・」
少し震える声で言うからどうしたのかと思って棒を引き抜いたら、マスターが見上げてきた。真っ赤な顔で、何かちょっと涙目になってるし・・・
「もしかして、耳・・・ダメなんですか?」
「悪かったな!」
「悪くないですけど、なんか意外で・・・今のマスター、すごく可愛いです」
うっかり呟いたら、ハッとしたように赤い顔をまたオレのお腹に埋めて隠したマスターは、小さな声で一言。
「・・・覚えてろよ」
その言葉の意味を理解するのは、翌日のこと。
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《カイトを耳掻き》
人は誰しも苦手なものがある。それは、殆どの人が賛同してくれるものから、他人には『なんで?』と思うようなものまで様々だが、本人にはどうしても我慢ならないものだ。
「もしかして、耳・・・ダメなんですか?」
梵天付きの耳掻きを手にしたカイトが、青い目を丸くして顔を覗き込んでくる。
俺が苦手なのが、他人にされる耳掻き。自分でする分には平気なんだが、されるのは擽ったいのとも性感を刺激されるのとも微妙に違って・・・とにかく、どうにも耐えがたい。
今日はカイトがやりたがっていたので十数年ぶりに頼んでみたんだが、これは駄目だ。あんまり丁寧過ぎる感覚に、あとちょっとで悶えそうになった。
「悪かったな!」
「悪くないですけど、なんか意外で・・・今のマスター、すごく可愛いです」
少し涙ぐんでいる気がする俺の頭を膝に置いて撫でながら、妙にうっとりしたような顔で言うカイトに何とか復讐・・・いや、ちょっとした仕返しをしてやりたい。このまま組み伏せてこいつの弱いところを徹底的に責めてやってもいいんだが、和室には両親の仏壇もあるし、やはりこういう時は同じ方法が一番だろう。
「・・・覚えてろよ」
なかなか熱が引かない顔を薄い腹に押し隠したまま、俺は悔し紛れのようにそう呟いた。
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「カイト。ちょっとこっち来い」
「はい?」
翌日。部屋のベッドに腰掛けてカイトを手招く。髪を揺らして首を傾げた後、特に訊き返すでもなく俺の隣に座ったところで肩に手を掛けて身体を倒し、膝の上に小さな頭を乗せた。
「ますたぁ?」
きょとんと青い目を見開いて見上げてくるのに笑いながら髪を撫でてやれば、素直に目を閉じて気持ち良さそうに身体の力を抜く。
「さてカイト。今日は俺が・・・してやるよ」
その耳元に囁きかけると、薄く開いた目が俺の手元を見てぎょっと見開かれた。
「ふぇっ、耳かき!?お、オレ、ロイドだから大丈夫です!!」
「ロイドだって、埃が入ったりするかもしれないだろう?ほら、よーく見せてみろ・・・」
自分でも胡散臭いくらいの猫撫で声で言いながら、逃げられないよう空いた右腕でがっちりホールドして、細い竹の棒を形の良い耳に差し入れる。元々刺激に弱い身体はそれだけでブルリと大きく震え
「んぁ・・・や・・・ひにゃあーっ!!」
それ以来カイトは、耳掻きを見ただけで真っ赤になって震えるようになったので、我が家では元の通り、俺だけがそれを愛用している。
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