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「アイス大好きな歌う青い兄さん」にやられた可哀想な人のブログです。
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こんばんは。

動物園に行ってきました。憧れのあの方(笑)に逢いに!・・・まぁその話は長くなりそうなのでまた後日。

さて、今日は夏の頃に出し損ねた話です。と言う訳で寒くなってきたこの時期に、真夏の事を思い出して読んでみて下さい。(その割にはちょっと湿っぽい話ですが・・・)


小説は続き~からどうぞ。

************

《カイトと夏の体温》


『どのくらいが良いかなぁ?』

 自分の手を握りながら考えるけど、人間の“気持ち良い冷たさ”なんて分からないから、困っちゃう。

 

「ああいうのも、夏の安眠グッズか」

 晩ご飯の時、マスターがテレビで紹介されていた“ひんやり抱き枕”を見て呟いた。布にひんやりする成分が入ってて、抱いて寝ると冷たくて気持ちいいんだって。

「寝る時に冷たいのがあると、“安眠”するんですか?」
「ああ。エアコンもあるけど、直接身体を冷やすもんがある方が寝やすいだろう?」

 マスターはお風呂上がりの身体が冷めると、エアコンを止めて窓を開けて寝る。点けっぱなしで寝ると疲れる気がするんだって。うちは風が通るからなって言ってたけど、やっぱり暑いのかも。

 

『10度くらい下げたらいいかな?』

 今のオレの体温は35.5度。普通の人間と比べるとちょっと低いけど、ロイドが稼働するにはちょうど良いらしくて、体温設定のあるロイドは基本的にこの温度になってる。
 実はこの体温って、起きる時のタイマー設定みたいに自分で変更できるんだ。あの抱き枕の代わりにオレの身体を冷たくしたら、きっとマスター寝やすくなるよね。

「ぼんやりしてるな、眠くなったか?」
「ふぇっ?あ、えと・・・」
「身体も冷めてきたし、そろそろ寝よう」

 明日の用意をしていたマスターはそう言ってエアコンを切ると、部屋の窓を開ける。どうしよう、体温は急には下がらないんだけど・・・そんなにかからないし、寝てる間に下がれば良いよね。

「どうした?」
「あっ、なんでもないです。おやすみなさい、マスター」
「ん、おやすみ」

 慌てて体温の設定を変更すると、額に軽くキスをしてくれたマスターの隣で目を閉じた。
 

**********************************


「・・・と、カイト!」
「ふぇ?」

 オレを呼ぶ声と同時に部屋が明るくなって、目が覚めた。

「カイト、大丈夫か?どうしたんだ!?」

 オレンジがかったルームランプでも分かるほど青い顔をしたマスターが、オレに覆い被さってる。まだ夜の2時なのに、マスターこそそんな顔してどうしたんだろ?

「えっ?だいじょぶって・・・なにが、ですか?」
「何ってお前、凄く身体が冷たくなって・・・」
「あっ、それ、オレが下げました」
「自分で?・・・どういうことだ?」

 ちょっと低い、怒ってるみたいな声が上から降ってきて思わず身体が強張った。そうだ、マスターに言うの忘れてた!

「あっ、あの、ごめんなさい!寝る時冷たいのがあると良いって言ってたから、体温下げたんです。オレが冷たかったらマスター寝やすいかなって思って・・・マスター?」

 謝りながら起き上がりかけたオレの身体をぎゅうっと抱き締める、その腕が震えてる。

「そっか、そういう事か。でも、頼むから・・・俺の前で、冷たい身体でいないでくれ」
「どうしてですか?」

 だって、暑い時は冷たい方が気持ちいいんでしょう?
 マスターが嫌みたいだからいつもの体温に設定し直して、でもその理由が分からなくて訊き返すと、まだ冷たいオレの身体をますますきつく抱いたマスターは

「生き物はさ、死ぬと冷たくなるんだよ。動物も、もちろん人も。俺はもう・・・大事な人の冷たい身体に触るの、嫌なんだ」
「・・あっ!」

 マスターのご両親は、飛行機事故で亡くなってる。どういうふうだったのか詳しく訊いたことはないけど、きっとマスター、オレの身体が冷たかったからその時のことを・・・

「オレ・・ごめっ、ごめんなさい!マスターに悲しいこと思い出させちゃったんですよね!?」
「んー・・・まぁ、そんな気にするな。俺だって気付かない間は、何か冷たくて気持ち良いもんがあるなって思ってたんだよ。だけど、それがお前だって・・・カイトが冷たくなってるんだって分かったら、全身の血の気が引くくらいゾッとした」

 オレの肩に顎を当てて小さな声でそう言ったマスターは、腕の力を緩めると背中をポンポンと叩いて

「せっかく気を遣ってくれたのにごめんな。でも俺は真夏だろうと何だろうと、カイトの体温が好きだよ。俺よりちょっとだけ低くて、だけど温かいこの身体が」

 やっと温度の戻ったオレの身体をもう一回引き寄せる。いつもオレを安心させてくれる優しい心臓の音と、温かくて広い胸。オレは、誰かの“冷たい身体”を知らないけど・・・

「オレも、マスターの温かい身体が大好きですっ」

 この身体が冷たくなるのが怖くてぎゅうっとしがみつくと、マスターは困ったように笑ってオレの髪をクシャクシャと撫でた。

************


こんなシリアス気味の話の後で何ですが、この機能を使って夏は冷たく(低体温)、冬は暖かく(高体温)設定したボカロを抱き枕よろしく一緒に寝ている家は割とあると思います。私も一人欲しいw
しかし、マスターは平熱が高めなので(36.8℃くらい)、いつもの体温のカイトでも抱き枕にして普通に気持ちいいんじゃないですかね?

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