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(現在2話。下の方が新しいです)
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《 夏の夕暮れの話 》
「あー、ほんと暑い・・・。カイトじゃないけどアイス食いたくなるな」
晩ご飯の材料を買いに行った帰り道。白いビニール袋を提げて二人で歩いていると、マスターが呟いた。
「夕方なのに、全然涼しくないですねぇ」
オレは多分、マスターほどは暑さを感じてないと思うんだけど。それでも、オレンジ色の世界の中をゆるゆると動く空気は、湿っぽくて温い。
オレたち以外は誰もいないから、いつもは留めている首元のボタンを2つ外すと、ちょっと涼しくなった気がして・・・マスターに教えてあげようと思って振り返ったけど、マスターが着てるのTシャツだから、開けられないや。
「駄目だ、限界・・・ちょっと待ってろ」
ふらふらっ、とコンビニに入って行ったマスターは、でもほんの1.2分で出ていた。
「一緒に食おう。これなら家に着くまでに食い終わるだろ」
「アイス?・・・でも、一つしかないですよ?」
普段よく食べるカップアイスじゃなくて、長方形の袋に入ってるのは多分、棒が刺さってるタイプのアイスだと思う。
訊くと、マスターはニッと笑って
「ほれ」
「あっ、2本ある!どうしてですか?」
差し出されたのは、涼しげな水色の棒アイスだった。しかも、何故か2本。袋は一つしかなかったのに、どうして?
「これ、一つのアイスに棒が2本刺さってて、半分に分けられるんだよ」
マスターが種明かしに、両手に1本ずつ持ったアイスをくっつけると、片方の端がギザギザになっていたアイスがピタリと一つになる。
「カイト、普通の棒アイスだと食い切れなくて溶かすしな。だからって歩きながらカップアイス食うのもおかしいし・・・これなら小さめだし、食い切れるだろ?」
「はいっ!」
確かに、これなら普通のアイスの半分の大きさだから、オレでも食べられると思う。
「ほら、早くしないと溶けちまうぞ。口開け」
もう一度マスターが差し出してくれた、半分このアイス。言われたとおりに口を開いて銜えると、甘くて冷たい夏の味がした。
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≪マスターとカイトと11月11日≫
「珍しいもん食ってるな」
「ふぇ?」
薄い唇に銜えられたものを見て声を掛けると、ポリポリとそれを齧っていたカイトが、ソファの背凭れ越しに俺を見上げてきた。
「ポッ○ーだろ?それ」
「はい、ミクがくれたんです。今日は○ッキーの日なんだよって」
「ポッ○ーの日?・・・ああ、CMのやつか」
毎年この時期になると『11月11日はポッ○ー、プ○ッツの日』とかってフレーズでやっていた気がする。確かに今日が、その当日だ。
「おやつに持ってきてくれたんですけど、食べきれなくて」
言いながら再び一本摘むと、それを口に運ぶ。カイトは基本的に甘いもの好きなので、夕飯を食べた後だと言うのにその顔は何となく幸せそうだ。
「俺にもくれ」
久しく食べていないのを思い出したら急に食べたくなり、白い頬に手を滑らせてこっちを向かせると、銜えられたそれを反対側から齧った。
「っ!?」
「・・・あ、折れた」
ビクッと細い肩が跳ねると、その振動で細い焼き菓子は半分に折れる。
「び、びっくりしました!オレの食べかけなんかじゃなくて、まだこっちにありますよ?」
「いや、一口で良かったんだけど。・・・そういや、ポッ○ーゲームなんてのもあったな」
「これで、ゲームするんですか?」
残っていた半分をモクモクと食べ切り、新しく取り出した一本を眺めるカイトの手からそれを取り上げ、その唇に挿す。
「カイトはそっちの端から。俺はこっちから齧って、先に唇を離した方が負けって訳。分かったか?」
今イチ分かっていないような顔ながらも頷いたので、チョコレートのついていない端にそっと歯を立てて齧る。しかし案外折れやすいもので、ちょっと動くとさっきのように真ん中辺りから折れてしまった。
「・・・折れちゃいました」
「もう一回するか?」
「はいっ!」
元気の良い返事に、カイトの手にあった袋から残り少ない1本取り出して、今度は俺から銜える。ふと目を上げると真剣に菓子を齧る顔が見えて、笑ってしまいそうになった。いかん、笑ったらまた折れる。
「・・・んっ!?」
菓子が短くなっていくにつれて縮む距離に気付かなかったのか、唇が触れ合った瞬間ようやく驚いたように俺を見た青い瞳に、目だけで笑いながらペロリと唇を舐めてやると
「これ、折れないで食べられたらキスしてもらえるゲームなんですね?」
そう言って、ふにゃりと笑う。
いや、そういうもんじゃないんだけど。まぁカイトに合コン定番のゲームの意味が分かる筈も無いし、我が家ルールはこれで良いか。
「マスター・・・あと、これだけしか残ってないんですけど・・・」
苦笑しながらそんな事を考えていると、目の前に残り3本の袋を差し出され、視線を落とせばうっすら頬を染めたカイトの顔。
「・・・ほれ、口開け」
自分の口元が緩み出すのを自覚しながら、俺はその手から軽くなった袋を受け取り、新たな1本を薄く開いた唇にそっと挿しこんだ。
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