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拍手お礼の収納庫です。下に行くほど新しいです。
「なぁ、ボーカロイドって夢とか見るのか?」
「ゆめ?」
金曜日・・・ううん、土曜日になりたての真夜中。汚れてしまって新しく換えたばかりのシーツの上で、こっちを見ながら訊くマスターに、瞼の重くなってきたオレはちょっと首を傾げた。
夢って確か、2種類あるんだよね。眠っていて見るのと、将来こうなりたいとかっていう希望と・・・
「カイト、たまに寝言とか言うし」
「あ、そっちのゆめ・・・」
眠る方だったみたい。っていうか寝言とか言ってたんだ、なんだか恥ずかしいなぁ。
「オレ、なんか変なこと言ってますか?」
「いや。ふにゃふにゃ笑ったり、俺の事呼ぶくらいだけど。どんな夢見るのかと思ってな」
「えと・・・眠ってる時のことは、ほとんど覚えていないんです。たぶん、経験を整理するために、メモリ内でその日のことを再生しているんだと思うんですけど」
ボーカロイドのメモリは、スリープモードの間に整理されて蓄積される。だから外部からの情報が入らない、眠っている間に見るのは、前回のメモリ整理以降に経験した・・・起きている間のことだと思うんだよね。
「じゃ、つまり・・・その日あった事を、寝ながら思い出してるだけなのか?」
「そう・・・だと思います。整理中のことはメモリに残らないので、よく分からないですけど」
さっきまでマスターとしていた行為で疲れたからか、すごく眠くて身体が重い。
横になったまま顎を引いて頷くと、不意に伸びてきた腕がきゅうっとオレを抱き締めた。マスターの心臓が立てる優しい音が、耳に伝わってきて気持ち良い。なぜか、いつもより少し早いけど・・・
「思い出してるだけで、あんな顔してんのか。・・・本当に敵わないな、お前には」
「ふぇ?オレ、変なこと言いました?」
「いーや、何も。・・・眠いのに変な事訊いて悪かったな。お休み、カイト」
「ふぁい。おやすみなさい、ますたー」
よく分かんないけど、マスターがとっても嬉しそうな顔してるからいいや。
触れる肌の温かさをもっと感じたくて、耳を当てていた広い胸に懐くように頬を寄せると、髪を梳かれるゆっくりとしたリズムに合わせて、そのまま目を閉じた。
**********************
《マスターとカイトと夏の音》
「ぅうー・・・・ますたぁ、こわいです・・」
「大丈夫だよ、すぐに終わるから」
真っ暗な部屋の中。呻き声と共に、小刻みの震動が身体に伝わってくるのは・・・ブルブル震えるカイトが、俺の胴にしがみついているからだ。
「でも、空が急に光って、電気も消えちゃいました!」
「ブレーカーが落ちただけで、上げればすぐ点くし」
「でも、でも・・・ひゃああっ!」
ゴゴゴ・・・ドドンッ!
言いかけた声を遮るように、部屋中をレモン色の光が満たしたかと思うと、耳を劈くような轟音が響いて窓硝子が震える。こりゃまた、どっか近くに落ちたな。
「・・・まぁ初体験だし、仕方ないか」
5月に起動したばかりのカイトにとって、初めての雷。遠雷の頃には、聞き慣れない音に不思議そうに首を傾げるだけだったが、稲光が見える頃にはすっかり怯えてしまって、少しも俺から離れようとしない。
「しかし、雷の何がそんなに怖いんだ?案外綺麗なもんだぞ?」
電化製品への影響が気になって手放しには楽しめないが、俺は子供の頃から、青や紫に淡く輝く稲光を眺めるのが好きだ。
「これが、かみなり?あの、音が・・・いきなりおっきい音がするの、すごく怖いです」
そう言えば、ボーカロイドは人より五感・・・特に聴覚が優れてるらしいから、大きい音が苦手なんだろうか。他に何か、気を逸らせる音でもあれば良いんだけど・・・
「・・ああ、そうだ。カイト、ちょっと力抜いて。・・・そんな顔しなくても、離さないから」
「マスター?」
胴に巻きつく腕を軽く叩くと、不安そうに見上げる顔にちょっと笑いながら、そろそろと力を抜いた身体を少し持ち上げる。
俺の胸の位置に耳を当てた青い頭を片腕で抱えて、空いた耳も手の平で塞いでしまうと
「あ、マスターの音・・・これ、すごく気持ちいい。かみなり終わるまで、こうしてくれます、か?」
すり、と良い位置を探すように少し頭を動かして、息を吐きながら呟いた。
「・・・いいよ」
青い髪を梳いて返事をしてやると、安心しきった子供みたいな顔で目を閉じる。
未だ最後の一線を越えられない俺だが、こんな顔をされてしまったらこれ以上は手を出せず・・・早くこの我慢が終わる事を願いながら、しばらく立ち去りそうもない雷雲を眺めた。
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《マスターのお下がり》
休日の昼間。俺とは対照的にまめまめしく掃除をしている姿をぼんやりと眺めていると、視線に気づいたのか、その手が止まって青い目がこっちを見た。
「どうしたんですか?マスター」
「いや・・・俺のお下がり、よく着てるなぁと思って」
ウエストや丈の問題があるので主に上着なのだが、家から出ない日のカイトは大概俺のお下がりを着ている。(さすがに外に着ていくにはおかしいという自覚はあるらしい)誤解の無いように言っておくが、ちゃんと服は買ってやってるぞ。
「ダメですか?」
「いや、駄目じゃないけど。袖とか長くて邪魔じゃないか?」
「折れば大丈夫ですよ」
「・・・そうか」
今着ているのも、俺が学生の頃に着ていた薄手のトレーナー。普通に着ると指先しか出ないので、袖を折って捲ってある。
折り返しで袖口が厚くなったせいで、只でさえ細い手首が余計細く見えるし、大きく開いた襟刳りからは、人前ではハイネックやマフラーで隠している白い首筋も丸見えだ。昨晩そこに散らせた花弁が、まだ色濃く残っていて・・・
「カイトは本当に、俺のお下がりが好きだな」
自分の残した痕を見て何となく浮上した気分のまま、からかうようにそう言えば
「はいっ!だってマスターの着ていた服を着ると、ぎゅうってしてもらってるみたいです」
「・・・っ!あー・・・・みたい、でいいのか?」
「ふぇ?」
言葉だけでは意味が取れなかったのか、首を傾げるカイトに向かって両手を広げると、一瞬戸惑ったような表情がぱあっと輝いて、そのまま俺の胸に飛び込んできた。
あんまり可愛い事を言うカイトを、俺の方が急に抱き締めたくなっただけだっていうのは、恥ずかしいので内緒にしておこう。
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