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このブログの目的、マスカイ小説です。
私の作る文章は長くなる傾向にあるので、適当なところで切って少しずつ上げていきます。
しばらくはこの家のマスターとカイトにお付き合い下さい。
というか、まだマスター「と」カイトの話ですが・・・。いつになったら「×」が付けられるかしら?
小説は続き~からどうぞ。
私の作る文章は長くなる傾向にあるので、適当なところで切って少しずつ上げていきます。
しばらくはこの家のマスターとカイトにお付き合い下さい。
というか、まだマスター「と」カイトの話ですが・・・。いつになったら「×」が付けられるかしら?
小説は続き~からどうぞ。
***************
《 マスター始めました・1 》
「いらっしゃいませ。どのようなものをお求めですか?」
平日、しかも開店直後の電器店内をふらふらする俺に、店員が声を掛けてきた。広い店内に客はまばらで、暇なんだろう。
「あー、掃除用の・・」
「ああ、〈悦子ちゃん〉ですか。勿論ご用意してありますよ」
俺の台詞を遮り愛想良く先導しようとする店員を引き止め、訂正する。
「や、違います。ロイドじゃなくて、普通の」
ロイドとは、人に創られた機械仕掛けのヒト・・アンドロイドの事だ。こういう技術にかけては世界有数の我らが日本。世界に先駆けて創り出したそれらは10年以上も前から世に出始め、今では使用目的別に様々なロイドが生産されている。
どっかで聞いた名前の〈悦子ちゃん〉は、もうすっかり家庭にも浸透している家政婦ロイド。他にも医療や災害、介護の現場などでの労働用、数年前からは娯楽目的のものまで作られていて、町を歩いてロイドを目にしない日は無い。
「普通の・・とおっしゃいますと、“ロボット”の、ですか?」
「そう、ロボットの」
生体パーツを使い、人と同じ姿に創られたロイドは、作業用の自動機械・・いわゆるロボットとは別物として扱われる事が多く、問われて俺は頷いた。
「ロボットの・・・少々お待ち下さい」
“あんな古いの、あったかなぁ”なんでぶつぶつ呟きながら、店員は俺を置いてどこかへ歩いて行く。
確かに、俺の探す掃除ロボは、子供の頃に既に廃れ始めたくらい古いものだ。今は殆ど見かけない。掃除をする時の独特の動きを思い出して見にきたんだが・・・リサイクル店を見た方が早かったか?
『みっくみっくにし~てあげる~♪』
不意に聞こえてきた明るい声に振り返ると、長い緑の髪の女の子が笑顔で歌う姿が販売品の大型テレビに映し出されている。娯楽用ロイドの代名詞、歌う事に特化したロイド・・ボーカロイドのCMだった。
ボーカロイドとは、随分昔からあったVOCALOIDという音声ソフトにロイドの身体を与えたもので、最初に発売されたのは音声ソフトでも最も売れたというこの少女型、〈初音ミク〉。彼女以外にも何種類かあって、キャラクター別のCMもよく見るのだが・・・
「お客様、大変申し訳ありません。ご所望の商品ですが当店には用意がありませんで、メーカーに問い合わせましたところ、既に生産終了したと・・」
「あー・・・ですよね」
画面を眺めている間に戻ってきた店員が頭を下げる。ま、そうだよな。
「よろしければこの機会に〈悦子ちゃん〉はいかがですか?」
品切れを悪いと思ったのか、それともこれはチャンスと思ったのか。店員は俺を先導してロイドのブースに連れていく。
店の奥の一角。揃いのメイド服を着て並ぶ数体の栗色の髪の少女型ロイド、〈悦子ちゃん〉・・・と、なんか、青いのが。
「・・・これ、もしかして〈カイト〉ですか?」
さっきの〈初音ミク〉と同じ、ボーカロイドの男性型。言っちゃ悪いが量産型の〈悦子ちゃん〉たちは“作り物”感が拭えないが、目を閉じ、じっと立っている〈カイト〉の姿は、人工の証である深い青の髪や睫毛を除けば人そのもの。何でこんな所に突っ立っているのか不思議なくらいだ。
「起動前のボーカロイドって初めて見た。どうしたんですか、こいつ」
家庭用ロイドは、電化製品を扱っている店なら大抵購入できるが、娯楽用ロイドに関しては総じて高値なので、実物を展示しているのは専門店くらいじゃないだろうか?
「ボーカロイドに興味がおありですか?こちら、非常にお求め易くなっていますよ」
「いや、別に・・・」
と言いつつ、つい目が〈カイト〉の方に行ってしまう。
季節外れの青マフラーに白いロングコート。左耳にはボーカロイドの証の黒いインカム。すらりとした身体と綺麗に左右対称に整った造作の穏やかな顔立ちで、身長は大体170cm位だろうか。本当に、CMで見たままの姿。ボーカロイドに興味がなかったので、こんなに近くで見るのは初めてだ。
「〈悦子ちゃん〉の代わりにどうでしょう?この機体は家事機能も搭載しておりますよ」
「いやいや、代わりとかそういうレベルの額じゃ・・・って、えっ?なんでこんな値段!?」
よく見ると、足元にひっそりと置かれた値札の額が異様に安い。量産ロイドに比べればまだ倍以上だが、標準価格の1/3位じゃないのか?
「実は・・・ボーカロイドが、フルオーダーというのはご存じですか?」
「ああ、CMでも言ってますよね。『あなただけの~』って、全部自分好みにできるとか」
ボーカロイドにはメーカーで決められた設定があるが、家庭用ロイド全般の仕様として家事や介護の機能などが搭載できる。他に娯楽仕様として外見年齢、身長、髪や瞳の色、果ては性別までも自分好みにする事が出来るのだ。だからこそ、量産の労働用ロイドに比べて高級品なのだが。
「この〈カイト〉も当店でご契約頂いて作られたんですが・・・。注文されたお客様が、受け取り前に亡くなられましてねぇ。御遺族は必要ない、と受け取り拒否を。マスター登録もまだでしたので、こちらも強く出られず・・」
「じゃ、どうなるんです?こいつ。売れなかったらこの店のものになるんですか?」
色々いじれるボーカロイドとしては、逆に珍しい程メーカー設定に近いこの〈カイト〉。展示用でも良いんじゃないのかと思った俺の言葉に、だが店員は一度俺をチラリと見てから大きくため息を吐いて
「当店で展示してもあまり意味が無いんです。家庭用ロイド全般が電器店で購入できるとはいえ、高価な娯楽用ロイドを専門店以外で購入される方は殆どいません。当店としましても起動すれば維持費がかかりますし、買い手がなければ勿体ないですが、このまま工場に返品して廃棄処分という事に・・・」
「処分・・・」
脳裏に、保健所に収容された捨て犬たちの姿が浮かび、それに目の前の〈カイト〉の姿が重なる。不思議な事に、目を閉じたこの姿もさっきと違い悲しげに見えてくるが・・・ちょっと待て、俺。
「・・・このボーカロイドの事で、訊きたいんですけど良いですか?」
「はい。こちらでお答え出来なくても、専門店に連絡出来ますよ」
店員がにこやかに笑いかける。何かもう俺が買う事決定みたいな晴れやかな顔してるが、俺にはどうしても確認しなきゃならない事があるんだ。答えによってはいくら可哀想でも、このボーカロイドを買う事は出来ない・・・
「ありがとうございました~」
あれから一時間。結局俺は満面の笑みの店員に見送られ、人生初の7桁額の買い物をして家路に着いたのだった。
***************
という訳でお買い上げです。切りどころがなくて今回だけ異様に長いです。済みません。
・・・っつかカイト、起きてすらいない・・・orz
2話目
《 マスター始めました・1 》
「いらっしゃいませ。どのようなものをお求めですか?」
平日、しかも開店直後の電器店内をふらふらする俺に、店員が声を掛けてきた。広い店内に客はまばらで、暇なんだろう。
「あー、掃除用の・・」
「ああ、〈悦子ちゃん〉ですか。勿論ご用意してありますよ」
俺の台詞を遮り愛想良く先導しようとする店員を引き止め、訂正する。
「や、違います。ロイドじゃなくて、普通の」
ロイドとは、人に創られた機械仕掛けのヒト・・アンドロイドの事だ。こういう技術にかけては世界有数の我らが日本。世界に先駆けて創り出したそれらは10年以上も前から世に出始め、今では使用目的別に様々なロイドが生産されている。
どっかで聞いた名前の〈悦子ちゃん〉は、もうすっかり家庭にも浸透している家政婦ロイド。他にも医療や災害、介護の現場などでの労働用、数年前からは娯楽目的のものまで作られていて、町を歩いてロイドを目にしない日は無い。
「普通の・・とおっしゃいますと、“ロボット”の、ですか?」
「そう、ロボットの」
生体パーツを使い、人と同じ姿に創られたロイドは、作業用の自動機械・・いわゆるロボットとは別物として扱われる事が多く、問われて俺は頷いた。
「ロボットの・・・少々お待ち下さい」
“あんな古いの、あったかなぁ”なんでぶつぶつ呟きながら、店員は俺を置いてどこかへ歩いて行く。
確かに、俺の探す掃除ロボは、子供の頃に既に廃れ始めたくらい古いものだ。今は殆ど見かけない。掃除をする時の独特の動きを思い出して見にきたんだが・・・リサイクル店を見た方が早かったか?
『みっくみっくにし~てあげる~♪』
不意に聞こえてきた明るい声に振り返ると、長い緑の髪の女の子が笑顔で歌う姿が販売品の大型テレビに映し出されている。娯楽用ロイドの代名詞、歌う事に特化したロイド・・ボーカロイドのCMだった。
ボーカロイドとは、随分昔からあったVOCALOIDという音声ソフトにロイドの身体を与えたもので、最初に発売されたのは音声ソフトでも最も売れたというこの少女型、〈初音ミク〉。彼女以外にも何種類かあって、キャラクター別のCMもよく見るのだが・・・
「お客様、大変申し訳ありません。ご所望の商品ですが当店には用意がありませんで、メーカーに問い合わせましたところ、既に生産終了したと・・」
「あー・・・ですよね」
画面を眺めている間に戻ってきた店員が頭を下げる。ま、そうだよな。
「よろしければこの機会に〈悦子ちゃん〉はいかがですか?」
品切れを悪いと思ったのか、それともこれはチャンスと思ったのか。店員は俺を先導してロイドのブースに連れていく。
店の奥の一角。揃いのメイド服を着て並ぶ数体の栗色の髪の少女型ロイド、〈悦子ちゃん〉・・・と、なんか、青いのが。
「・・・これ、もしかして〈カイト〉ですか?」
さっきの〈初音ミク〉と同じ、ボーカロイドの男性型。言っちゃ悪いが量産型の〈悦子ちゃん〉たちは“作り物”感が拭えないが、目を閉じ、じっと立っている〈カイト〉の姿は、人工の証である深い青の髪や睫毛を除けば人そのもの。何でこんな所に突っ立っているのか不思議なくらいだ。
「起動前のボーカロイドって初めて見た。どうしたんですか、こいつ」
家庭用ロイドは、電化製品を扱っている店なら大抵購入できるが、娯楽用ロイドに関しては総じて高値なので、実物を展示しているのは専門店くらいじゃないだろうか?
「ボーカロイドに興味がおありですか?こちら、非常にお求め易くなっていますよ」
「いや、別に・・・」
と言いつつ、つい目が〈カイト〉の方に行ってしまう。
季節外れの青マフラーに白いロングコート。左耳にはボーカロイドの証の黒いインカム。すらりとした身体と綺麗に左右対称に整った造作の穏やかな顔立ちで、身長は大体170cm位だろうか。本当に、CMで見たままの姿。ボーカロイドに興味がなかったので、こんなに近くで見るのは初めてだ。
「〈悦子ちゃん〉の代わりにどうでしょう?この機体は家事機能も搭載しておりますよ」
「いやいや、代わりとかそういうレベルの額じゃ・・・って、えっ?なんでこんな値段!?」
よく見ると、足元にひっそりと置かれた値札の額が異様に安い。量産ロイドに比べればまだ倍以上だが、標準価格の1/3位じゃないのか?
「実は・・・ボーカロイドが、フルオーダーというのはご存じですか?」
「ああ、CMでも言ってますよね。『あなただけの~』って、全部自分好みにできるとか」
ボーカロイドにはメーカーで決められた設定があるが、家庭用ロイド全般の仕様として家事や介護の機能などが搭載できる。他に娯楽仕様として外見年齢、身長、髪や瞳の色、果ては性別までも自分好みにする事が出来るのだ。だからこそ、量産の労働用ロイドに比べて高級品なのだが。
「この〈カイト〉も当店でご契約頂いて作られたんですが・・・。注文されたお客様が、受け取り前に亡くなられましてねぇ。御遺族は必要ない、と受け取り拒否を。マスター登録もまだでしたので、こちらも強く出られず・・」
「じゃ、どうなるんです?こいつ。売れなかったらこの店のものになるんですか?」
色々いじれるボーカロイドとしては、逆に珍しい程メーカー設定に近いこの〈カイト〉。展示用でも良いんじゃないのかと思った俺の言葉に、だが店員は一度俺をチラリと見てから大きくため息を吐いて
「当店で展示してもあまり意味が無いんです。家庭用ロイド全般が電器店で購入できるとはいえ、高価な娯楽用ロイドを専門店以外で購入される方は殆どいません。当店としましても起動すれば維持費がかかりますし、買い手がなければ勿体ないですが、このまま工場に返品して廃棄処分という事に・・・」
「処分・・・」
脳裏に、保健所に収容された捨て犬たちの姿が浮かび、それに目の前の〈カイト〉の姿が重なる。不思議な事に、目を閉じたこの姿もさっきと違い悲しげに見えてくるが・・・ちょっと待て、俺。
「・・・このボーカロイドの事で、訊きたいんですけど良いですか?」
「はい。こちらでお答え出来なくても、専門店に連絡出来ますよ」
店員がにこやかに笑いかける。何かもう俺が買う事決定みたいな晴れやかな顔してるが、俺にはどうしても確認しなきゃならない事があるんだ。答えによってはいくら可哀想でも、このボーカロイドを買う事は出来ない・・・
「ありがとうございました~」
あれから一時間。結局俺は満面の笑みの店員に見送られ、人生初の7桁額の買い物をして家路に着いたのだった。
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・・・っつかカイト、起きてすらいない・・・orz
2話目
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プロフィール
HN:
南浪(ななみ)
HP:
性別:
女性
職業:
処理能力の低い事務員
趣味:
通販・ニコ動巡り
自己紹介:
08夏からボカロ家族に夢中になり、遂にカイトにやられて読み専から書き手に。
ベタな展開と妄想が大好きです!
かなり根深い腐女子(貴腐人?)なので、色々すみません・・・
*メルアドはこちら*
〈nanami1103☆hotmail.co.jp〉
☆→@にして下さい。
メールで頂いたものは、メールでお返事します。
物申したいけど返事がブログに載るのは・・・という時は、こちらにご連絡を。
あ、勿論普通の感想をこちらに送って頂いても大丈夫ですよv
ベタな展開と妄想が大好きです!
かなり根深い腐女子(貴腐人?)なので、色々すみません・・・
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